「通信制高校や私立高校が甲子園に行くのはずるい」
「私立高校ばかり、甲子園に出ていてつまらない」
「甲子園は高校野球なのに地元選手がいなくて、県外選手ばかりでずるい気がする」
上記のように考えている方は、意外に多いかもしれません。
結論、通信制高校や私立高校がずるいと言われる3つの理由は、授業より野球に集中できる状況・スカウトによる有望選手の獲得・プロ並みの野球に打ち込める環境があるからです。
高校野球の代名詞である甲子園は、多くの高校球児の憧れの場所であると共に、野球ファンや地元を応援する方が熱を入れて応援するイベントでもあります。
これまでにたくさんの感動のドラマが生まれ、今でも語り継がれている伝説は数え切れません。
そんな甲子園ですが、近年は通信制高校や私立高校の出場が多く「ずるい」「つまらない」といった声が多くあります。
そこでこの記事では、通信制高校や私立高校が甲子園に出場することがずるいと言われている理由について、3つの観点から分かりやすく解説していきます。
通信制高校が甲子園に行くのはずるい!通信制や私立がずるいと言われる3つの理由とは?
通信制高校や私立高校が甲子園に行くのはずるいと言われている3つの理由は次の通りです。
- 通信制高校や私立高校は、授業より野球に集中できるからずるい?
- 通信制高校や私立高校は、全国から有望選手を集めているからずるい?
- 通信制高校や私立高校は、公立校と比べて環境が良すぎる?
上記3点について、それぞれ詳しく解説していきます。
通信制高校や私立高校は、授業より野球に集中できるからずるい?

結論から言うと、通信制高校や私立高校は公立高校と比べると、授業を柔軟に変更させられるなど、野球に集中できる環境が作りやすいと言えます。
通信制高校の場合、一般的な全日制高校と異なり、通学日数が少なく、自宅学習やリポート提出で単位を取得することができます。これにより、平日に多くの練習時間を確保することができ、まるで「野球のために学校に通っている」ような生活リズムを作ることも可能です。
例えば、クラーク記念国際高校(北海道代表)のような広域通信制高校では、授業はリモートまたはレポート提出でこなしながら、日中は練習やトレーニングに集中することができます。
また私立高校の場合、スポーツコースや特進コースなどの専用カリキュラムを設けている学校が多く、野球部員は通常の授業負担を軽減される仕組みになっています。これにより、朝練や放課後の練習だけでなく、午前や日中の時間帯を使ったトレーニングや戦術指導も可能になっています。
一方、公立高校では教育委員会の方針や学習指導要領に則った授業が基本であり、欠席や早退には制限があります。そのため、日中の練習や長期間の遠征が難しく、結果的に「練習時間に差が出る」という現実があります。
こうした現状の中、2023年にクラーク記念国際高等学校が甲子園で初勝利を収めた際は「通信制でこんなに勝てるなんて不公平だ」という声が出たことがありました。
確かに、夏の甲子園における公立高校の優勝は、2007年の佐賀北高校(佐賀県)が最後、春・選抜高校野球の優勝は2009年の清峰高校(長崎)が最後となっており、それ以降は私立高校が優勝を独占している状況です。
2025年今年も、通信制高校は未来富山が、私立高校は北海高等学校や沖縄尚学などが甲子園出場を決めています。
通信制高校や私立高校が、一見簡単に甲子園出場を掴んでいるように見えるため「ずるい」という気持ちになるのも致し方ないかもしれません。
しかし、通信制高校や私立高校の柔軟性は個々の自己管理能力や努力によって初めて活かされるものであること、通信制高校や私立高校のすべてがこうした野球エリート向けの体制を持っているわけではないということを忘れてはいけないかもしれません。
通信制高校や私立高校は、全国から有望選手を集めているからずるい?

結論から言うと、通信制高校や私立高校は野球留学やスカウトで有望選手を受け入れている文化が根付いており、選手側も夢のプロ野球を目指すにあたり、強豪校の通信制高校や私立高校に行くのが夢への近道となっている状況のため「ずるい」と一言で片づけられない背景があります。
近年の甲子園では、通信制高校や私立高校の出場が多くなるにつれ「チームに地元の選手がいない、県外選手ばかり」「地元出身選手の率が低い」といった状況が増えています。
実際にSNSでも、
「地域の代表として甲子園に出場しているのに、その地域の出身者がほとんどいない」
「地域代表としての意味が薄れている」
「本当にこの学校が県代表と言えるのか?」
といった声が聞かれます。
現在の高校野球の世界では、通信制高校や私立高校を中心に全国から有望選手を集める「野球留学」「スカウト」の文化が深まりつつあります。
特に強豪校においては、地元出身者がほとんどおらず、スタメンのほとんどが他府県からの転校生や野球留学生というケースも少なくありません。
例えば、2024年春の選抜に出場した日本航空石川高校では石川県出身者が1名しかいないことが話題になりました。そのほかにも、大阪桐蔭高校や健大高崎高校などは、地元外から多数の選手を迎え入れ、実力重視のチーム編成を行っている代表的な例です。
「野球留学」「スカウト」が活発に行われる背景には、選手側や私立学校側の事情も絡んでいます。
選手側にとっては、指導環境や進路実績の整った県外の強豪校へ進学することは、夢のプロ野球選手になるための近道とも言えますし、通信制高校や私立高校の柔軟な編入制度や奨学金制度は、進学先としてのハードルを下げています。
私立学校側にとっては、少子化や競技人口の減少という現実を背景に、全国から選手を集めなければチームを維持できない状況もはらんでいます。
高野連も「居住地や出身地に制限を設けることは選手の自由な進路選択を妨げる」として、ルールに他府県からの選手を集めること自体は一切禁止されておらず、居住地による出場制限もありません。
一方で、公立校は地元出身者の割合が非常に高く、例えば島根県の大社高校では地元選手の割合が100%であることが特徴です。
「地域密着」という高校野球の本来のイメージがあるため、地方大会などで、地元の公立高校が奮闘しても、最終的には「県外出身者中心の私立強豪校」が代表となると、複雑な思いになる方もいるかと思います。
「地元の高校球児が甲子園のチャンスを奪われている」
「地元の中学生が進学してもレギュラーになれるチャンスが少ない」
こういった事態になっていることも懸念されます。
高校野球が持つ「地元愛」と「勝利至上主義」の間で、地元重視の姿勢に応援者の熱意が集まり、地域全体が一体感を得ることも甲子園の魅力であったり、また公立高校と私立高校での選手構成の違いは、大会の多様性を生み出し、高校野球ならではのドラマを作り出しているという状況があることも覚えておきたい点です。
通信制高校や私立高校は、公立校と比べて環境が良すぎる?

結論から言うと、通信制高校や私立高校は、公立高校と比べると野球に打ち込める環境が整っており、その環境はプロ野球レベルのため、環境は良いと言われています。
高校野球の世界で「通信制高校や私立はずるい」と言われる背景には、公立校との間にある大きな環境格差があります。
特に練習環境、指導体制、資金面での支援など、あらゆる面において私立高校は恵まれた条件を持っており、それが結果的に「強くて当然」「公立じゃ太刀打ちできない」という印象を生み出しています。
まず練習環境について、通信制高校や私立強豪校は専用のグラウンドや全天候型練習場、室内練習場などを完備しています。ナイター設備やトレーニングジム、映像解析システムを導入している学校も珍しくなく、まるで大学やプロ球団並みの施設で日々練習に励んでいます。
また施設においても。寮の完備など、選手が一年中集中して練習できる施設が整っています。
指導体制についても、通信制高校や私立高校には、実績ある監督や元プロ野球選手を指導者として招聘するケースが多く、科学的トレーニングやデータ分析を取り入れるなど、非常に高度な指導体制が整っています。また、バッテリーコーチ、打撃コーチなど複数の専任コーチやトレーナーが在籍しており、戦術指導やフィジカルトレーニングが細分化されています。
最後に資金面での支援についてですが、遠征費や宿泊費、用具費なども学校側がサポートすることが多く、選手は経済的な心配をせずに野球に専念できます。
一方の公立高校は、限られた敷地と時間の中で練習するのが現実で、雨天時には練習すらできない日も多くあります。
指導者も教員が兼任で担当しており、時間的・専門的な制約が多く、また異動によって頻繁に変わることがあり、継続的な強化が難しいというのが実情です。
資金面においても、部費や遠征費の自己負担が多く、選手や家庭の経済状況によって活動が制限されることも珍しくありません。
このように、通信制高校や私立高校と公立高校の間には、制度上は禁止されていない「正当な差」があり、結果として圧倒的な実力差を生んでいます。
だからこそ、公立高校を応援している人々からは「私立は環境が良すぎてずるい」という感情的な声が上がるのも当然ですし、勝てばより感動を呼ぶ「下克上」のストーリーが生まれるという側面もあります。
通信制高校や私立高校が甲子園に行くのはずるいに関するSNSの声
ここでは「通信制高校や私立高校が甲子園に行くのはずるい」に関するSNSの声を紹介いたします。
通信制高校や私立高校が甲子園に行くのはずるいといった感想は多くの方が抱いているようでした。
通信制高校や私立高校が甲子園に出場するのはずるいという意見や高野連の定めたルールに対する問題意識は、これからもずっと議論され続ける内容かもしれません。
地元校や地元選手を応援したい想いと、私立高校である花巻東高等学校から甲子園出場を果たした大谷翔平選手のように夢に向かっていく選手たちの想いが上手く交わるような案が生まれてくれることを願っています。
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